ChromeOS Flexとは?
出会いがあれば必ず別れもやってきます。
期限ってなんかドライで冷たくてあまり良い印象のない言葉ですが、よく考えると事前にお別れのタイミングを教えてくれている訳で、実は親切で思いやりのある存在なのかもしれません。ありがとう、もろもろの期限!君のおかげで慌てる事なく対処する事が出来るよ!願わくば更新料がなければもっと好きになれるんだけど…。という事で今回はまもなく期限を迎えるWindows10の対処方法についてです。
Windows10サポート終了の対処
いよいよ2025年10月14日Windows10のサポートが終了します。幸い7月5日に大災難は起きませんでしたが、Windows10のサポートは(現状では)確実に終了しそうです。私が現在仕事で使用しているPCはWindows11のノートパソコンとWindows10のデスクトップ(Lenovo V520S)の2台なので、Windows11のアップデート条件を満たせていないデスクトップがサポート終了してしまうことになります。
まぁどうせ暇なので(ぐぬぬ)ノートパソコンだけでも問題ないっちゃ無いのですが、一応もしもの時の為の予備は用意しておきたい。かと言って新しいPCを買う余裕はない。そもそも現状サクサク使用できているデスクトップをあと数ヶ月で捨てるのは勿体ない。しかし、かと言ってサポートの切れたOSを使ってセキュリティ上の何らかのトラブルが発生したらマズい。万が一金銭的な損害が発生しようものなら、赤字の個人事業主にはなす術など無い。と、なかなか悩ましい状況です。
そこでどうしたもんかと対策を(ちょっとだけ)考え、最終的にデスクトップPCをWindows10からChromeOS Flexに入れ直して運用することにしました。結果思いの外快適でこれで十分、無事解決となりました。
ChromeOS Flexとは?
- 1.Googleが開発した既存のPCにインストールできる軽量な無料OS
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ChromebookのOSである ChromeOSから派生したOSです。なのでLiunxベースですから軽量かつ高セキュリティと言われています。Windows11が入れられない古いPCを無理やり延命しても、Windowsではいつか動作の重さが問題になってしまうでしょうが、OS自体を変えてしまえば根本解決できそうです。そして何より無償!これはありがたい。
- 2.シンプルで使いやすいインターフェース
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基本的にGoogleクローム(Webブラウザ)を使う為の「Googleクローム特化OS」です。なのでめちゃくちゃシンプル、WebブラウザとしてGoogleクロームを使用している人ならすぐ使用できます。
- 3.新しいアプリのインストールほぼ不可
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WindowsやMac用のアプリは勿論、ChromeOS(Chromebook)では使用できるAndroid用のアプリも使用できません。というか前述の通りGoogleクローム特化OSなのでGoogleクローム以外のアプリは使えないと思ったほうが良いです。
- 4.ネットに接続されている事が前提
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Googleクローム(Webブラウザ)を使用するためのOSなので、オフラインで出来る作業は限定的です。私のようなあまりPCに詳しくない人間にとっては、オフラインではほぼ使用不可と思っていた方が良さそうです。
- 5.お試しが可能
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自分のパソコンで動作するか?いきなりインストールする前にUSBから起動させてお試しすることが出来ます。Google公式(https://support.google.com/chromeosflex?sjid=4782965239519256431-NC#topic=11618314)で動作保証されていないPCでも安心して試せます。
- 要するに、Webブラウザで使用するクラウドサービス(Webアプリ)専用のOS
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ということです。
Microsoft365を契約している私としてはオフィス系アプリはPCローカルにインストールしたいところですが、Webアプリとして使用することも可能なので一先ず良しとします。ブラウザ上では出来ない作業が出てきたらWindows11のノートパソコン使えばいいですし。パソコンのアプリ上で更新していたSNSなどもWebブラウザから各サイトにログインすりゃいいので、これもOK。なので迷わずインストールすることにしました。
ChromeOS Flexのインストール手順
- 1.必要なものを準備
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・Googleクローム(Webブラウザ)
・Googleアカウント
・USBメモリ(8GB以上)
・現在使用しているPC(Windows)のリカバリーメディア ※念の為
多くの方はすでにお持ちの物ばかりだと思います。インストールしたらあと戻りできないので、念の為元のWindows環境に戻せる様にしておきましょう。 - 2.データのバックアップ
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Windows環境は上書きされてなくなってしまうそうなので、パソコンのドライブ上に保存しているデータは別の場所に保存しておきましょう。私はデスクトップ含めすべてのデータをOneDriveに同期させていたので、バックアップ作業も不要でした。
- 3.クラウドサービス上でのPCに紐づけられた認証の削除
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例えばWindowsの場合、Microsoft アカウントに使用しているデバイスが紐付いています。この手の紐づけは同じパソコンでもOSが入れ替わったら別のデバイスと判定されてしまうので、後で設定がややこしくなる前に旧PCを削除しておきましょう。
因みに新たにChromeOS Flexをインストールしたデバイス(PC)のMicrosoftアカウントへの紐付けは、MicrosoftCopilotに聞いたところ不要との事でした。アプリがインストールされないからですかね?
- 4.ダウンロード(ChromeOS Flex取得)
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一般的なイメージファイルをDLする形式ではなく、Googleクローム(Webブラウザの方)の機能拡張として「Chromebookリカバリユーティリティ」ってやつをDLします。
※場所はこちら→Chromeウェブストア(https://chromewebstore.google.com/) - 5.メディア作成
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DLしたChromebookリカバリユーティリティを起動して、USBメディアにChromeOS Flexのインストーラーを作成します。Chromebookリカバリユーティリティの主旨はChromebook全般のリカバリーなので、デバイスのメーカーや製品名を入力する欄があります。どちらも「ChromeOS Flex」を選びましょう。
因みに私の場合Windows10のデスクトップでメディア作成をしようとすると必ず途中でフリーズしてしまい作成できず、もう1台のノートパソコンを使用して作成しました。インストールするPCとは別のPCで作成しても問題は無い様です。
- 6.お試し
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いよいよ使ってみましょう。インストールしたいPCにインストーラーを作成したUSBメディアを刺してPCを起動後は画面の指示に従えばOKです(必ずお試しで起動すること)。ネット接続は必須なので、Wi-Fiもしくは有線LANが必要です。また、パソコンの機種によりUSBから起動させるためにBIOS/UEFIの設定変更が必要な場合がある様です。私はBIOS/UEFIの設定はそのままで起動できました。
- 6.インストール
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お試しで問題なければインストールしましょう。ここからは後戻り出来ないので慎重に。手順的にはお試し時と同様で、USBメディアを刺してPC起動後にお試しではなく「インストール」を選べばOKです。
詳しくはGoogle公式のヘルプをご参照ください(https://support.google.com/chromeosflex?sjid=4782965239519256431-NC#topic=11618314)
そんなこんなで、実際に使用してみた感想です。
ChromeOS Flexの良いところ
- 1.軽くてシンプル
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最近ミニマリストめいている私としては、余計なアプリや設定もなく必要十分なOSはスッキリしていて心地よいです。USBからお試しで起動していた時はアカウントの切り替え等ややもっさりしてた気もしますが、パソコンにインストールしてからはキビキビ動いています。
実質パソコンのローカルにファイルを保存できる場所はダウンロードフォルダだけですが(ファイルは基本的にログインしているGoogleアカウントのGoogleドライブに保存する考え方)、その分Googleアカウントがあればいつでもほぼ同じ環境を構築できる訳で、身軽な感じが良いです。
- 2.操作に迷わない
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初めて使うOSなので不安でしたが、操作感や設定で困ることはほぼありませんでした。まぁ実質Webブラウザ(Googleクローム)とWindowsでいうエクスプローラーに該当する「ファイル」というアプリしか動かせませんし。各種設定画面はなんとなくAndroidチックな作りなので(同じGoogleですからね)、普段WindowsやAndroidを使用している人なら違和感なく使えるでしょう。
- 3.利用するWeb上のアプリやサービスはPWAで簡単アクセス
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ChromeOS Flexでは各種サービスやアプリはWebブラウザからログインして使用するのが基本ですが、都度ブラウザを立ち上げサイトにアクセスしログインするのもちょっとめんどい。そんな時はPWA(Progressive Web App:プログレッシブウェブアプリ)というプロレス団体のような名前の機能を使えば解決。Googleクローム(Webブラウザ)から該当のサービスにログイン後そのサイトをPWAでPCにダウンロードすれば(Googleクローム上で出来ます)、その後はそのサイトがアプリの様にOS上に保管されるので以降都度ログインすることなく、ワンクリックでそのサイトにアクセス出来るようになります。ブラウザで言うブックマークのOS版ですね。
- 4.Microsoftのサービスと親和性高い
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うざったい認証の確認なども殆ど無く、一度Googleクローム(Webブラウザ)でMicrosoft365にログインしてしまえば(たまーにパスワード要求されるものの)上記PWAで簡単に使用可能です。OneDriveもChromeOS Flexデフォルトのファイルアプリで表示させることも可能らしいです(私は余計な設定してややこしくしたくないのでやってませんが)。
- 5.セキュリティ対策が楽(というかしなくて良い)
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これは有識者に言わせると諸説あるようなんですが、一先ずGoogle公式では安全面をこのOSのメリットとして上げています(https://chromeos.google/intl/ja_jp/products/chromeos-flex/)。セキュリティソフトなどの対策が不要なのは、お金も時間も不足がちな個人事業主にはありがたいですよね。
ChromeOS Flexの注意点と対策
- 1.接続出来ないデバイスが出てくるかも
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プリンタなどのデバイスの中には上手く接続できないものもある様です。これはインストール前のお試しUSB起動の時に確認できるので、しっかりチェックしておきましょう。特にDVDやCDの書き込みには対応していない様ですのでご注意を。因みに私の使用しているマウス・キーボード・Webカメラは無事使用できました。
- 2.オフィシャルで正常動作が認定されていないパソコン
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Google公式(https://support.google.com/chromeosflex?sjid=4782965239519256431-NC#topic=11618314)に動作保証されているPCの一覧がありますが、私のPC(Lenovo V520S)は記載されていません。まぁ動作条件があまり高くないので認定されていないPCでも動くことが多いらしいですし(実際私も動いてる)、そもそもタダですからね。インストールは自己責任で行いましょう。
- 3.たまにスリープからの復帰が出来ない
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これは環境によると思うのですが、わたしのPCでは時々スリープ(ChromeOS Flexで言うロック)からの復帰が出来なくなります。もちろんお決まりの電源長押しで再起動出来るのですが、クラウドでの作業が前提ですしこまめな「保存」は忘れないようにしましょう。
- 4.オフラインの作業が限定的
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とにかくパソコンのローカルで作業するという概念がない(?)ので、オンラインでの作業が前提となります。私の場合デスクトップパソコンなのでオフラインになる事はないのですが、ノートパソコンなどで外に持ち出す場合はスマホでのデザリングなど対策を考えましょう。
- 5.日本語入力ちょっと不便
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標準のGoogle日本語入力(Mozc)以外、ATOKなどIMEのインストールは出来ない様です。普段使用しているMacやWindows(共にデフォルトの設定で使用中)に比べると文字変換の精度や候補がちょっと不満です。まぁこれは慣れるしかないのかな?
- 6.迷ったらGeminiに聞く
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何か操作に迷ったら速やかにGoogle謹製のGeminiに聞きましょう。餅は餅屋、GoogleのことはGoogleに。無料版のGeminiでも、OS操作についてなら不自由なく教えてくれます。
最後に一つ
私の失敗
- Webバンキングにアクセスできなくなってしまった
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上記「クラウドサービス上でのPCに紐づけられた認証の削除」は理解していたものの、普段使用していなかった為(言いわけ)、Windows10時代にPCに紐付いていた銀行のネットバンキングの電子証明書を消してしまいました。銀行に直接問い合わせして対処しないといけないようです。まぁ会計ソフト(freee)上ではこの状態でも同期出来ているので、慌てる必要は無いのですが…。
結論
という事で、業務ではメールやオフィスソフトが使用できればOKな環境の方ならば、Windows11に移行できないパソコンの活用方法としてChromeOS Flexはおすすめです。これを機に余計なファイルを整理してミニマムなビジネス環境を構築するのも良いですよ。
ではまた次回、お元気で。
まんまとGoogleの思惑にハマっているような気もする
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