契約書の作成【コンサル向け】業務委託契約書の作り方|50代が雛形と弁護士レビューで辿り着いた「準委任契約」の落とし所契約書の作成

ライトブルーとベージュ基調のLofiイラスト。木目デスク上でライトブルーの契約書を紙バンドでゆるく結び、影が握手の形をつくる。右下に50代日本人男性コンサルの手元が万年筆を構え、「業務委託の準委任契約」で合意に至る比喩を静かに表現。日本アニメ風、文字要素なし。
目次

はじめに:なぜフリーランスに業務委託契約書が必要なのか?

令和の現在と昭和の頃って色んな基準が変わりましたよね。よく話題になるのはコンプライアンスですが、衛生観念やモラルみたいなものもだいぶ変わりました。例えば昔はその辺の道にぺっぺぺっぺと痰吐いてるおじさんが沢山いたり駅のホームに痰壺が置いてあったりしましたし、外で立ちションする子供やおじさんも、今ではめっきり見なくなりました。今や水はお店で買うものですが、私が子供の頃は外で遊んでいる時は集合住宅に有る水道から直飲みしてましたし。改めて思い出すと昭和は随分不衛生ですねぇ。

しかし、だからと言って昭和より令和のほうが健康になっているとも思えません。結局、感覚みたいなものってその時その時の気分でフラフラするんですよね。しかも他者との共有もできませんし。例えば(消費期限ではなく)賞味期限とか不格好で破棄される野菜とか、私からすると基準が厳しすぎると思うのですが、世の中の多くの人にとってはそうではないのでしょうし。…いや、もしかしたら「多くの人はこう思っているだろう」という想像すら、幻想なのかもしれません。

この様に基準とは曖昧なものです。良い悪いや正しい正しくないの判断は人それぞれ。仕事上でも「思ってたのと違う」と思うことは日常茶飯事ですが、それが初めて仕事する人との間では尚の事、むしろはじめからイメージが一致することの方が少ないでしょう。しかし、常に新たにお客様を見つけてお仕事を頂こうとするフリーランスにとって、これは大問題です。お金頂いて仕事してる訳ですから、きちんとお客様のご期待には応えなければなりません。かと言って何でも言われるがままに作業していたら、いつまで経っても仕事が終わらないし…。

こういったトラブルから身を守る為に重要なのが契約書。今回は、コンサルタント業のフリーランスに必要な業務委託契約書を作成したお話です。大事な事とは理解しているものの、法律に関わる話なので苦手な人も多いのではないでしょうか?

※因みに筆者は法律のド素人です。記事の内容はあくまで筆者の経験上の所感ですので、実際に契約書を作成される方は、ご自身で専門家によくご相談の上ご対応下さい。

【知識編】コンサルは「準委任契約」。請負契約との致命的な違いとは?

お客様から金銭を頂いて仕事を行う訳ですから、何らかの契約を結ばなけれなりません。まぁ小難しい話をすれば口約束でも契約は成立するのでしょうが、普通は書面で契約を結びます。サラリーマン時代は会社に決まった契約書のフォーマットがありましたが、個人事業主なので自分で用意しなければなりません。面倒くさいですねよね。そう、面倒くさいんです。しかし仕事を貰う上で無くてはならないものですから、準備するしか無いんです。あきらめて準備しましょう。

一口に契約書と言っても色んな種類がありますが、個人事業主が仕事をする際に締結する契約書は業務委託契約書です。更に業委託契約書にも種類があります。

  • 請負契約:何かしらの成果物を完成させることを約束する契約
  • 準委任契約:行為(業務)を遂行するけど特に成果物を完成させるわけではない契約

ざっくりこの2つがあります。例えばWebデザイナーやITエンジニアの方はモノを作る仕事なので請負契約、コンサルタントはアドバイスはするけど何かモノを作る訳ではないので準委任契約、って違いです。なので私は準委任契約の契約書を作成します。それぞれの違いは?

違い1:成果物の有無

ここが請負契約と大きく違うところです。目に見える成果(モノ)が無いという事は、言い方を変えると成果が判り辛いという事です。なのでお客様との業務範囲のすり合わせがより重要となります。

違い2:契約解除の柔軟性

請負契約の場合、個人事業主が成果物を作成している途中で、顧客側が「やっぱやーめた」って契約解除されてしまうとタダ働きになっちゃいますよね?なので契約解除には色々制限が有るのですが、準委任契約の場合はいつでも解除可能なのだそうです。なので準委任契約の場合、逆に通常1ヶ月とか3ヶ月とか契約期間を定めて契約します。

その他法的には色々特徴が有るのでしょうが、私の理解ではこのあたりまでが限界です。兎に角コンサルタント業は準委任契約って覚えておきましょう。因みに「準」じゃない委任契約は弁護士や税理士などの士業の方の契約形態だそうです。

【実践編】費用を抑えて契約書を作成した4つのステップ

法律に関して私は素人、これから勉強して詳しくなろうという気もありません。

勿論ビジネス上最低限必要なリテラシーは持っていたいですが、「契約書」となると専門家の領域です。なぜなら万が一係争になった際の基準となるから。コワイ…。なので、当然弁護士の先生にお願いします。しかし、出来るだけ安く済ませたいな…。

ステップ1:無料の雛形サイトで基本を学ぶ

上記の記事でもちらっとご紹介しましたが、無料で使用できる契約書の雛形をいくつか見てみました。そうすれば「おおかたこんな感じね」という標準的な契約内容がなんとなく分かってきます。私が見たのは、

このあたりだったと思います。そして一通り見た感想は、

似てるっちゃ似てる/似てないっちゃ似てない

てな感じ。結局この表現は法的にどう解釈されるのか?が判らないので、判断しようがないんですよ。

ステップ2:自分なりのドラフトを作成する

まぁ判らないなりに、素人考えながらなんとなく各契約書のいいとこ取りしたつもりの契約書を作成してみました。もしかしたらこの作業、私のロジカルシンキングと国語能力が試されているのかもしれません。しかし別に完成度は求めていないので良いんです。次の作業の土台にするだけなので。

ステップ3:弁護士の無料相談でレビューを受ける

これも上記の記事に記載しましたが、弁護士の無料相談を利用しました。このブログでおなじみのTOKYO創業ステーションです。

後もう一つ、フリーランス協会の弁護士相談も。

フリーランス協会 (https://www.freelance-jp.org/service

計2名の弁護士の方に、上記の私なりに作成した準委任契約書をレビューしてもらったのです。あわよくば「すごいですね!とても素人の方が作ったとは思えない契約書です。このまま使えますよ!あなた天才じゃないですか?」なんて言われるかと思ったのですが、当然そんな事ある筈もなく。色々意見を伺いました。

この契約書、一から私が作ったものなら兎も角本を正せばしっかりしたサイトから文章を拝借したものなのに、弁護士の方が見ると、色んなリスク(懸念)が有る様なんですよ。ここで私は悟りました。契約書に正解はない、と言うか自分にだけ都合の良い契約書は存在しない、と。だって私が有利になるなら相手は不利になりますもんね。そんな契約書顧客が納得してくれる訳ありません。なので、最終的に

どの辺を落とし所にするかを自分で納得した契約書を作る

しかないという結論になりました。しかしそんな事小一時間×2の相談で出来る訳ありません。覚悟を決めて次の手段に移りましょう。

4:有料レビューで「落とし所」を見つける

ここでついにお金を払うことにしました。まどろっこしいって?すみません。自分不器用なもんで。ただし一から作成依頼すると結構な金額掛かっちゃいそうなので、できるだけ安く済ませたい私は上記の自分で作った雛形を活用することにしました。3と同様に、雛形のレビューを受けながら、私の希望を踏まえた改善案だけ弁護士に出してもらい、最終的な契約書自体は私が作成すると言う方法です。要するに上記3を有料で長い時間行ったって事ですね。これだと相談だけなので数万円で済みました。

これでついに私の契約書が完成しました!

【経験者が語る】契約書作成プロセスで気づいた5つのポイント

ポイント1:契約の三大要所(お金・労働・知見)を明確にすべし

契約書のポイントは色々有るようですが、ざっくり言うと

  • お金
  • 労働力(作業)
  • 知見(研修資料等)

が自分の不利益にならないか否かです。例えば仕事したのにお金もらえないとか、契約終了したいのに終了させてもらえないとか、研修資料パクられたとか。ただ逆も真なりで相手方も同じ事を考えますから、一般的な落とし所を弁護士に確認の上、文言を考えましょう。

ポイント2:雛形はあくまで「たたき台」と心得るべし

契約を締結する段階で、顧客から契約書の見直しを求められるケースも有ると思いますし、そもそもコンサルタントの場合業務の内容や報告方法等顧客ごとに違ってくる事も多いので、契約書は都度アレンジが必要だと思います。なので完璧な雛形が出来たとしてもそれをそのまま使えないケースも有る事は覚悟しておきましょう。そう考えるとやっぱり法務の担当者ってビジネスには必要なんですよねぇ。

ポイント3:自作の契約書は「使わない可能性」も覚悟すべし

フリーランスへの業務依頼を恒久的に行っている企業の場合、企業側から業務委託契約書を提示されることが多いです。というか私がマッチングサービスでこ゚縁を頂いたお仕事は、全て企業側の用意した業務委託契約書で契約しました。よっぽど自分の作った契約書にこだわりがあるとか相手の用意した契約者が理不尽だったなどじゃなければ、それでも特に問題はないでしょう。

ポイント4:これからは「電子契約」を前提にすべし

私がたまたまなのかもしれませんが、今のところ紙の契約書は使用したことはありません。顧客から提示される契約書もオンライン契約ですし、私が用意しているのもfreeeサインです。業界にもよるでしょうが、これから自分で契約書を用意するなら電子契約が良いでしょう。一番多いのはやっぱりクラウドサインかな?

クラウドサイン (https://www.cloudsign.jp/

ポイント5:NDA(秘密保持契約)は不要なケースもあると知るべし

NDA(秘密保持契約)とは、業務上知り得た情報を第三者に漏らさないようにするための契約です。ビジネスでは良く出てくる契約書なんでこれも用意しようと思っていたのですが、これ実際には機密情報を持っているのは私ではなく企業側なので、私から敢えて契約するものでもないんですよね、という主旨ことを弁護士の先生に言われなるほどと膝を打ちました。さすがプロ、やっぱり専門家に相談するって大切ですね。なので私は作っていません。まぁ将来用意する必要が出てきたら、その時考えましょう。

結論:契約書作成は、自分のビジネスと向き合う最高の機会

この契約書作成という作業、契約条項を深堀りして考えると自ずと自分が相手にどんなサービスを提供するのか?を考える事になります。特にコンサルタント業という実態が有る様で無い様な職業なら尚更です。業務の内容や提供する場所、期間、終了の仕方等、自分の実務のイメージを持っていなければ作成できません。更にそこに法的(商法)なルールや相手方の都合も加わり、色んな思惑や状況をシミュレーションする必要もあります。

上記の様に自分がどんな顧客と取引するかによっては必ずしも必要ではないかもしれませんが、自分のビジネスと向き合う為に、できれば起業の計画段階にでも、ちょっとだけ契約書の作成を試みてみるのも良いのではないでしょうか?何れにせよ最低限の法務知識も必要になりますしね。今はお金をかけずとも色々調べる事が出来ます。

ただし、最終的には弁護士のチェックを忘れずに。思わぬトラブルに巻き込まれないとも限りませんからね。
ではまた次回、お元気で。

今回の感想

弁護士と口喧嘩して勝てるのは弁護士だけ

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