【実録】個人事業主が62の自治体に営業メールを送った結果。アポ率60%の「神対応」と、成約ゼロという残酷な結末

個人事業主が自治体へ営業メールを一斉送信する様子を、複数の市役所アイコンとメールのアイコンで比喩的に描いたLofi系イラスト
目次

民間とは違う?フリーランスが「自治体営業」に目をつけた理由

まぁ何しろ仕事を貰えなければならないのですよ。

ごめんなさい。いきなり心の嘆きから始めてしまいました。しかし、このブログでも散々書いておりますが、フリーランスにとっては「如何に仕事を見つけてくるか(依頼してもらうか)」が全てといって過言ではありません。その為に講じたあれやこれやの策については今までもさんざん記事にしておりますが、実はまだ記事にしていなかった活動があります。それは「地方自治体への営業活動」です。

私はとある業界のコンサルタント業として活動しているので自ずと顧客はその業界の企業となる訳ですが、実は起業計画時から一般企業以外にも顧客として想定していた対象があります。それが地方自治体でした。その理由を詳しく書いてしまうと業界が特定されてしまうので詳細は伏せますが、ざっくり言うと私の関わる業界が地方自治体の「企業誘致」でも良く対象とされる業界なので、各自治体の「企業誘致活動」のお手伝いが商売になるのでは?と思ったからなのです。

という事で今回は営業素人の私が行った、地方自治体への提案営業についてご報告したいと思います。

狙いは売上より「信頼」。個人事業主が官公庁実績を作る3つのメリット

そもそも日本に存在する一般企業(法人)の数は一説によると約180万社。対する地方自治体の数は約1700。数で言うと約千分の一しかありません。しかも役所との取引ってルールも厳しそうだし契約も面倒くさそうだし、何より高額で契約してくれるイメージがありません。それでもなぜ私の様に自治体と取引しようとする企業があるのか?それは一般企業との取引とは別のメリットがあるからです。

  1. 公的機関との取引実績で信頼性が向上する
  2. 契約に至る過程の透明性が高い
  3. 入札など契約機会が公平

などなど。例えば民間企業への営業活動は知名度が無いと厳しい結果になってしまいがちです。その点地方自治体では上記2や3の通り、条件さえ満たしていれば(建前上は)公平に判断して契約する企業を選定してくれます。また、そういった過程を経て地方自治体の仕事をした実績は、上記1の様にその後の民間企業への営業活動上セールスポイントになる筈です。私もぜひこの「地方自治体との取引実績」を得たいのです。ぶっちゃけお金貰え無くてもいいから仕事させて!

入札を待つな!攻めの「提案営業(プロポーザル)」を選んだ戦略

では自治体のお仕事を頂くにはどうすれば良いのでしょう?一番スタンダードで簡単(?)なのは各自治体で募集している公募(一般競争入札)に入札する事です。自治体側から企業を探している訳ですから、ライバルより優れた提案が出来れば自ずと契約を勝ち取れます。

しかし自治体で公募している事業は実務の業務委託が多く、残念ながら私の業界のコンサル公募は見当たりません。なので、私は個別に各自治体に私から連絡するアウトバウンドセールス、所謂「提案営業」を行うことにしました。ちょっと無謀な気もしますが…まぁ失うものは何も無いですからね。ダメ元でやってみましょう!

【実践編】アポ率60%を叩き出した「自治体営業」の具体的ステップ

では実際に私が行った活動を順を追って説明しましょう。

Step1:提案書作成。「お困りごとの解決」に徹する資料作り

先ずは自治体に何を提案するかを考えます。私の本音としては「私に出来ることは何でもやります。というかやらせて!」なのですが、そんな事言っても(自治体に限らず)誰も相手にしてくれません。なので、

  • 自治体のお困りごとの可視化
  • そのお困りごとの解決策
  • その解決策に対して私が出来ること

などを資料にまとめてみました。上記の通り私の場合自治体のお困りごとを「企業誘致活動が上手く行っていない」と設定したので、それに対しての提案を作成しました。まぁこの辺は自治体だろうが民間企業だろうが同じ、営業の基本ですね。これをパワポで約30枚、プレゼン時間で小一時間程のボリュームにまとめました。

Step2:リストアップ。狙い目は「課題がありそうな地方」

次に実際にアプローチする自治体を選定します。提案内容の前提である「お困りごと」が当てはまる自治体じゃないと意味ありませんからね。そこで私は下記の基準で自治体をリストアップしました。

  1. 企業誘致活動を行っている自治体
  2. 上記1の中で企業誘致が「上手くいっていないであろう」自治体
  3. 上記2に当てはまる自治体が多い都道府県

1はネットで「地方自治体_企業誘致」などで検索しました。2と3はその中で大都市圏「以外」を抜き出し各都道府県別にカウントし、出来るだけターゲットの自治体が多い都道府県を選びました。

結果、6都道府県/62個所 の自治体をリストアップしました。

Step3:メール営業。「情報交換」というキーワードが鍵

ここからついにアプローチ開始です。先ずはリストアップした自治体に(都道府県ごとに)営業メールを送信します。メールの内容は以下のとおりです。

  • 自己紹介
  • (企業誘致についての)お困りごとはないか?
  • そのお困りごとに私がお役に立てないか、情報交換したい

この中で特に重要なのが「情報交換」というワードです。相手は自治体ですから一般企業のように営利目的で活動していません。そこに一般企業へのセールスの様に「損得」を全面に出した売る気満々の内容では相手にしてもらえません。なので「そちらのお困りごとに役立つ情報を提供します」というスタンスの情報交換を主目的としてアプローチしました。

宛先(メアド)は各役所のホームページを見れば用件ごとの担当部署のメールアドレスもしくは問い合わせフォームがありますのでそちらに送りました。

このメールを62の自治体に送り、返事が来た自治体は2〜3箇所程度。ほぼ無視です。メール送っただけでは碌に見られていないのは一般企業も自治体も一緒ですね。ここでめげてはいけません。粛々と次の作業に移りましょう。

Step4:電話フォロー。受付突破率100%の衝撃

上記メールを送信してから3日後、返信のない自治体(ほとんどですが)に電話をしました。メールの確認と合わせ担当者に取り次いでもらい、改めてミーティング(情報交換)のアポイントを取ります。

ここで、民間企業と自治体の違いが出ました。それは、まず「受付で断られる」事が無いということ。ほぼ100%の確率で担当者と話すことが出来ました。まぁ「セールスの電話です」って正直に言ってはいないので当然かも知れませんが(苦笑)。私の場合なら「企業誘致の件でご担当の方お願いします」と言えば、そのまま電話を回してもらえます。民間企業へのアウトバウンドセールスではなかなか担当者まで繋がらなかったので、これはだいぶ助かりました。

結果、62の自治体のうち37の自治体とミーティングのアポイントが取れました。アポ獲得率約60%です。これ結構すごくないですか?私の想定したお困りごとが刺さったのか、そもそも情報交換なら自治体はこのぐらいアポイント取れるのか、どっちなんでしょうね?

Step5:現地訪問。90分の面談で感じた手応えと反省

そして実際にミーティングです。私は先方からオンラインミーティングを提案された場合を除いて、全て直接現地に訪問しました。自分不器用なもんで、やっぱり直接会って話さないと気持ちやなんやが伝わらないと思ってるんですよ。この現地訪問が前提だったので、ターゲット選定時に都道府県別にリストアップしたのです。だいたい都道府県ごとに10箇所程度回る事になるので、1日2〜3箇所訪問で2泊から3泊ほどの出張となりました。用意した資料は、

  • 名刺・自社サービスのパンフレット
  • 上記1で作成したプレゼン資料

です。ミーティングの流れとしては、

  1. 自己紹介
  2. プレゼン資料に沿ってプレゼン
  3. 雑談・フリートーク

と至って普通の流れでおおよそ90分ほどです。あくまで情報交換がメインですのでプレゼン資料も「私のサービス内容」と言うよりは自治体のお困ごと(企業誘致活動)の原因と対策が中心です。が、その結果として一般のセールス活動で言うところの「クロージング」が甘かったかなと反省しています。なんかさじ加減が難しいんですよねぇ。やっぱり私はセールス上手くないのかなぁ…。ともあれ各自治体の担当の皆さんには親切にご対応して頂けました。

因みにこの訪問時の出張に関しては、改めて別の記事で詳しく書きたいと思います。

Step6:即日のお礼メールで信頼を固める

ご訪問時に頂いた名刺に記載のメールアドレスに、ご訪問当日もしくは翌日プレゼンした資料をPDFで添付して御礼のメールを送りました。これもセールス活動の基本ですね。

Step7:翌年の再アプローチ。アポ率が10%に激減した理由

自治体へのセールスを実施したのは起業初年度の2024年。結果として私に仕事は来なかったので(苦笑)、ミーティングを行った自治体に対して、翌2025年の春、再度の(オンライン)ミーティングの提案をメールしました。今度はもう少しセールス色を強めに「私こんなことやりますよ〜」ってプレゼンしたかったんです。

因みに、最初のメール送信と違いお会いしたご担当者宛に直接メールしたので、今回は後追いの電話はしませんでした。そのせいもあるのか、今度はアポ獲得率10%ほど。37自治体のうち4個所しかミーティングのアポが取れませんでした。うーん、去年のミーティングイマイチ響かなかったのかなぁ…。残念です。

営業活動の最終成績:62件中37件アポ、成約は0件

という事で、自治体へのセールス結果は以下のとおりです。

  • メール送信:62自治体
  • ミーティング実施:37自治体
  • 翌年再ミーティング実施:4自治体
  • 頂いたお仕事:0件

どうでしょう?セールス活動のKPIとしてはまずまずなのかもしれませんが、後述する様にセールス結果が出るまでのサイクルが長いですし出張費などのコストも加味して、ひとまず現在は自治体へのセールスは停止しています。イマイチ「これで行ける!」って自信も持てていないですし、そもそも1件もお仕事頂けてないですしね。

なぜ仕事に繋がらない?自治体営業の「3つの壁(予算・入札・異動)」

民間企業とは違う自治体ならではの特徴です。自治体との取引をお考えの方は下記を頭に入れておいて下さい。

壁1:予算サイクルの罠。提案から発注まで最低1年かかる

これが民間企業との大きな違いです。もし良い提案できたとしても「じゃ来月からよろしく!」とはなりません。公的機関の年間予算は前年度のうちに「何にいくらつかう」が決定しているからです。国家予算と同じ様に議会で予算案を通さないといけませんからね。なので、自治体の予算策定は下記のようなスケジュールで行われるようです。

  • 春〜夏:来年度予算を作成する為の情報収集
  • 秋〜冬:各部署で予算案作成
  • 冬:首長が予算案作成
  • 2〜3月:議会で議決

自治体に提案営業するなら情報収集期間である春から夏に行って、早くて翌年度からの契約になるということです。

壁2:入札の原則。自分の提案が他社に取られるリスク

例えば私の提案に自治体側が納得して予算を確保したとしても、翌年度私に直接契約の話が来るとは限りません。自治体が取引する企業は原則として公募(一般競争入札)で選定するからです。なので自分が提案した業務が他の企業に取られる可能性もあります。このあたりは良くも悪くも決済者の一存で決められる民間企業との大きな違いですね。場合によっては指名での契約(随意契約)も行われる様ですが、色々条件があるようです。

壁3:担当者変更。4月になれば「あの人はもういない」

私の肌感覚だと、民間企業より担当者が頻繁に移動していると感じます。上記のように1年がかりの営業活動になるにも関わらず、4月には担当者が変わっている事が多々ありました。色々な利害関係者との癒着を防ぐ為なんですかね?何れにせよ担当者との関係性を築く営業手法は、使い辛いと思います。

即効性はゼロだが、「営業の場数を踏む場」としては最適だった

という事で、これが民間企業とは別口でひっそり行っていた地方自治体への提案営業の実態でした。私的には

  • セール活動自体は民間企業よりストレス少ない(邪険にされない)
  • 成功か失敗かが判断し辛い

と言う感想です。実績作りの一環としては今も興味があるのですが、とりあえず目先の売上を立てたい現在のフェーズでは最優先で取り掛かれるターゲットではありません。

しかし、営業経験の少ない方にとっては「比較的担当者とつながりやすい」ターゲットとして、営業の経験を踏むつもりで攻略先の中に含めてみても損はないのではないでしょうか?また、もし本気で自治体の案件を取りに行きたい場合は、各自治体で募集している公募もチェックしてみましょう。もしかしたら自分でも活躍できる案件が見つかるかもしれませんよ。
ではまた次回、お元気で。

今回の感想

でも出張は楽しかったよ

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