【独立1年目の罠】収入ゼロなのに住民税は満額請求?50代フリーランスが陥った「税金の時間差攻撃」の話

税金の通知書に囲まれ、困惑した表情で机に座るフリーランス男性。ライトブルーとベージュを基調にしたLofi系イラストで、納税の時間差に戸惑う様子を表現。
目次

納税の義務を果たそうとしたら、なぜか国からお金が戻ってきた50代フリーランスの悲哀

先日映画「ブレードランナー2049」観たんですよ。U-NEXTで観れる事が判明し、折角の無料期間を有効に使おうと確認がてら期待せず。ところが見始めると思いの外面白い。全体のトーンも前作を踏襲しているし、映画内でのツールや描写の前作からの進化・進歩も、作中でも同様に時間が経過してるので気にならず(スターウォーズはそこが違和感ありますよね?)、ラストのスッキリしたのかしないのかよく分かんない感覚も含め、前作同様楽しめました。

しかし改めて設定見ると、前作のブレードランナーって2019年の設定なんでびっくりです。原作が60年代末で映画も80年代はじめ頃の制作。40〜50年前の想像では今頃人間と見分けつかないレプリカント(アンドロイド)がウロウロしてたんでしょうが、現実はそうなりませんでした。うどんはまだ食べてるものの、屋台のうどん屋ももはや見かけませんし。残念な様なホッとするような…。

今回はそんなブレードランナー同様、思い描いてた将来と現実に乖離が生じた。納税の話です。

結論から言うと、

  • 独立1年目に「収入ゼロなのに、サラリーマン時代の所得を基準にした高額な住民税・国保を支払う」という、まさに「納税タイミングの罠」
  • その1年間の活動を確定申告した結果「所得税は還付され、2年目の住民税・国保は激安になる」という予想外の結末

の2つが同時に襲ってきました。なぜそんなことが起こるのか?この記事では、私が実際に体験した各種税金の支払い(と、まさかの還付)の全記録を通じて、この時間差攻撃のカラクリについて正直に告白します。

会社任せだった僕が知る、個人事業主の税金「イロハのイ」

サラリーマン時代には会社が勝手にやってくれていた納税ですが、個人事業主はこれも自力で行わなければなりません。税金について、一旦ざっくりとイロハのイ程度の理解をしておきましょう。

国税

国に収める税金で、税務署が管轄している

地方税

地方自治体(都道府県や市区町村)に収める税金で、自治体が管轄している

税務署への確定申告で色んな税金が決まるので普段あまり意識していませんでしたが、実際には税務署から所得のデータが自治体に共有されているだけで、収める場所が違うんですね。自動車税(これは地方税)なんかは直接自治体から納税通知くるんで理解しやすいんですけどね。この違いを理解しとくと、確定申告後の各税金の納税手続きの違いも理解しやすいと思います。

では、ここから個人事業主に必須の各税金と私の納税状況をご説明します。

フリーランス1年目の悪夢:「収入ゼロ」に届いた、高額な請求書

フリーランス1年目。私は初めて、サラリーマン時代の所得税と住民税の対象年度の違いを理解できました。

所得税は所得を得たら速やかに納付

毎月給与から天引きされていた所得税は、その月の給与所得を計算して算出してました。そして年末に最終的な1年間トータルの所得で所得税を計算し直し、差額が出たら調整(=年末調整)してたんですね。ですから当然、フリーランス1年目の去年は所得税の支払いはありませんでした。

住民税は前年度の所得から計算した金額を翌年に納付

私がサラリーマン最終年に天引きされていたのは、その前年度の所得を元に算出された住民税です。ということは、フリーランス1年目の去年は、サラリーマン最終年分の所得をもとに算出した住民税を支払わなければならないという事です。収入ほぼ0なのに、支払う住民税はサラリーマン時代と同等になってしまいました。

国民健康保険も前年度の所得から計算した金額を翌年に納付

国民健康保険も住民税同様、前年度の所得を元に算出されるので、新たに国民健康保険に加入したフリーランス1年目の去年は、サラリーマン最終年分の所得をもとに算出した保険料を支払いました。当然、収入のない身分にはだいぶお高い金額です。

毎月同じ様に天引きされていた住民税と所得税、健康保険ですが、算出対象の所得年度に違いが有るとは理解してませんでした。私が無知なだけなら良いのですが、多くの方が私と同様の理解度だとしたら、もうちょっと義務教育でこの辺のこと教えてあげたほうが良い気がします。

そしてここからは改めて確定申告後の今年(2025年)の状況です。

住民税:1年目の地獄と、2年目の「非課税」という結末

これはサラリーマン時代からお馴染みですね。

1.種類

地方税。もし国税だったら「国民税」って名前になるのかな?

2.何に対して課税される?

前年度の所得。事業所得ではなく総所得なので、本業で儲けがなくても土地売って大儲けとかで所得が増えると課税されます。

3.決定のタイミング

確定申告を元に6月頃に住民税決定通知書が届きます。確定申告先の国税庁から自治体に確定申告の内容が横流しされています。恐ろしいですね。と、冗談は兎も角こういった情報を管理のしやすくする為にマイナンバー制度が有るのでしょうね。私もこの事務処理をする立場だったら、そりゃ早く一元管理できるようにしたいって思うでしょう。

4.支払い回数・期限

原則4回(6月・8月・10月・翌年1月)に分けて払います。会社員時代は12分割だったので、何か1回の支払金額が多くて嫌ですね。

5.私はどうだった?

所得0円だと住民税って0円になるんですね。ちょっと驚きました(※自治体によっては、所得が一定額以下の場合でも均等割(年間5,000円程度)のみ課税される場合がある様です)。という事で今年の私は住民税を支払っていません。更に2024年には定額減税があった為、減税できない所得税非課税の人として給付金までもらっちゃいました。

それでもゴミは回収してもらえますし、国民健康保険にも加入できています。自治体は貧乏人の私を差別しません。しかしいざこんな立場になると、何か申し訳ない気分になってきます。やっぱりいっぱい稼いで、文句言いながらも税金収めるって方が健全な姿ですよね。とりあえず今年は役所に足を向けて寝ないようにしました。

国民健康保険:高額請求の翌年、保険料が「20分の1」になった話

税金ではないですが、確定申告を元に金額が決まるのが国民健康保険です。

1.種類

当然税金ではありません。会社員時代は会社で加入している保険組合の健康保険でしたが、個人事業主になったので国民健康保険に加入しました。50代で健康保険未加入は流石にリスキーすぎますので。因みに地方自治体で管轄してますので、加入は地方自治体での窓口で。

2.何に対して課税される?

住民税と同様国税庁から確定申告の情報が自治体に連携されて保険料が決まります。加入初年度は前年(サラリーマン時代)の所得で計算されるのは上記の通り。

3.決定のタイミング

6月に納付通知書が届きます。

4.支払い回数・期限

自治体によって回数は異なるようですが、私の場合6月から翌年1月まで全10回に分けて支払いです。サラリーマン時代の毎月の支払いと違うので最初は戸惑いました。

5.私はどうだった?

今年は去年の所得を元に算出されているので、(住民税のように0円とは行かないものの)だいぶお安くなっています。サラリーマン時代の20分の1くらいかな?ただし、ここで元取るためにガンガン病院に行きまくってやる!とはなりません。さすがに健康が一番です。

所得税はまさかの「0円」!収入フリーランスに国からお金が戻ってきた話

こちらも会社員時代からおなじみの所得税です。

1.種類

国税

2.何に対して課税される?

給与や事業所得、投資の利益、不動産売却益なども含めた個人の総所得。

3.決定のタイミング

前提として自分で計算。要するに確定申告する際の申告書で自分の所得税を算出するという事です。何か自分の罰ゲーム自分で決めるみたいで違和感ありますが、納税は日本国民の義務ですので自らの責務を果たしましょう。一応後で間違いに気づいた場合の修正方法もある様です。因みに税務署が間違い(不自然な申告)を疑って調査されるのが、噂に聞く税務調査ってやつですね。これにはペナルティが加算されます。

4.支払い回数・期限

前年度の分を確定申告と同時の3/15迄に支払い。収入はもうあるんだからすぐ払えという事の様です。3月になってから慌てないように、その年の所得を常にチェックして年明けの所得税納税分のお金を確保しておいた方が良いでしょう。分割も出来るようですが、手続きが必要だったり金利が掛かったりする様です。

5.私はどうだった?

日本では基礎控除をはじめ所得から差し引いても良い金額が控除として定められています(配偶者控除・扶養控除・社会保険料控除・医療費控除等)。私は計算の結果、恥ずかしながら所得0円となってしまったので、所得税も0円です。それどころか前職の1ヶ月分の給与で天引きされていた所得税が「キサマみたいな貧乏人からもらい過ぎちゃった。テヘペロ」と、還付されてきました。恐るべき日本の納税システム。

はじめまして個人事業税。…でも僕には「関係ない話」だった

サラリーマン時代には見かけなかった税です。はじめまして個人事業税。要するに法人で言う法人税ってことかな?

1.種類

地方税

2.何に対して課税される?

事業所得。所得税と違い総所得ではなく本業の儲け(=事業所得)のみです。個人“事業税”だけに。ただ事業所得が290万円以下なら課税されません。290万円までが事業所得の基礎控除って意味なのかな?

また、同じ個人事業主でも業種によっては課税されない様です。農業などの第一次産業や、スポーツ選手、タレント、アート系の職業の方など。もしかして子供がスポーツ選手や芸能人に憧れるのって、理にかなってる?

3.決定のタイミング

確定申告の情報を元に、8月と11月に納税通知が来る。地方税ですから都道府県税事務所から来る。なにぶんまだ納税したことないので東京都のホームページで調べました。まだ行ったことないレストランを調べるが如く。

4.支払い回数・期限

納税通知を使用して、それぞれ8月末、11月末が期限。2回に分割ですが、それでも初回の支払いは通知が来てからタイトな日程ですね。

5.私はどうだった?

290万?何の話?恋愛リアリティーショーぐらい2024年の私には関係ない話でした。

徴収する側に回った消費税。虚しすぎる「お前今日ベンチな」の顛末

今まで払うことでしか関わりのなかった消費税ですが、これからは徴収し収める立場に代わります。大人になった感じです。因みにインボイス登録していないフリーランスは納税する必要ありません。

1.種類

国税+地方税。国と地方で分配するそうです。話逸れますが、分配ってなんかイメージ悪い単語ですね。

2.何に対して課税される?

商品やサービスの売買に対して、そのものの値段に加算されます。なので個人事業主は会計上ものを売った時も買った時も、都度消費税を計算して帳簿につけておきましょう。

3.決定のタイミング

所得税同様、自分で計算して納税します。もし申告した自分の計算が違っていた場合の対応も、所得税と同様。所得税もそうですが、もし自分で間違いに気付いたら自分から自首したほうがペナルティ軽いらしいですよ。狡は辞めましょう。

因みに消費税ってちょっと分かり辛いんですが主旨としては「購入した人」に課税されてるんですよね。だからここで言う「消費税の納税」も「自分の商品を買った人から預かっている税金を代わりに収める」と言うロジックです。じゃなぜ計算が必要かと言うと「自分がお客さんとして支払った消費税と相殺した金額で納税して良い」と言う制度(仕入税額控除)が有るから。なんかもっとシンプルに出来ないのかなって思いますが、私より数千倍賢い人達が作った仕組みでしょうから、これが正解なのでしょう。そしてこの消費税の流れを正確にトレースする為にインボイス制度(適格請求書)が出来たんですね。

4.支払い回数・期限

期限は所得税よりちょっとだけ遅い3月31日まで。原則預かっているものを収めるだけですから、自分の売上と消費税は別枠でプールしとくのが正しい運用なんでしょうね。因みに納付先は税務署(国税庁)。地方税分は国税庁から自治体に分配されるようです。

5.私はどうだった?

事業としての売上が限りなく0に近しく経費を含めた事業所得は当然赤字なので、上記の仕入税額控除で消費税もマイナスになります。なので、(インボイス登録をして課税事業者になっているため)こちらも所得税同様還付されました。本当は売上高に応じて「本則課税」「簡易課税」「2割特例」を使い分ける予定だったのですが、それ以前の問題でした。なんだろう?一生懸命試合のイメージトレーニングしてきたら、「お前今日ベンチな」って言われたサッカー選手みたいな?この虚しさ。

鬼ごっこの「おまめ」にされた僕の納税。来年こそ「義務」を果たしたい

という事で、納税の義務果たすべく確定申告をした結果、フリーランス1年目の判定は納税不要とされてしまいました。ちっちゃい頃の鬼ごっこで捕まっても鬼にならない「おまめ」と同様の扱いですね。相手は気を使ってくれているのですが、こちらとしてはやはり皆と同じ土俵で正々堂々勝負できない引け目を感じてしまいます。二度とこの様な事態にならない様に祈るばかりです。来年の確定申告はどうなる事か…。

皆さんも開業前に一度、自分はどんな税金を納税しなければならないのか?初年度はいくら納税するのか?1年目の収入によってどれくらい翌年の納税額が変わるのか?シミュレーションしてみて下さい。納税するお金残って無くて後で慌てたくないですからね。

ではまた次回、お元気で。

今回の感想

この世で一番大変なデスクワークはお役所仕事かも知れない

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