「freeeを使えば、スマホで5分で開業届が出せます!」
ネットの広告や解説記事でよく見かけるこの文句。結論から言うと、半分本当で、半分は異議あり!でした。
書類を作成するだけなら、確かに5分で終わります。しかし、その後に待ち受けている「e-Taxとマイナポータルの連携」という名のデジタルの迷宮に、50代の私は小一時間ほど閉じ込められることになりました。
今回は、2024年1月に私が自宅のこたつでぬくぬくと挑み、見事に役所のシステムに翻弄された開業届オンライン申請の全記録をお届けします。これから申請する方が同じ罠にハマらないための反面教師としてお役立てください。

1. 提出のタイミング:元日の最強開運日に挑んだ結果
前職を2023年末で退職した私は、年明け早々の2024年1月4日に提出しました。
本当は2024年1月1日(一粒万倍日と天赦日が重なる最強開運日)に提出したかったのですが、税務署がお休みのためオンライン受付も不可。「神頼みもスタートダッシュが肝心」と意気込んでいただけに少し出鼻をくじかれましたが、提出日は1月4日でも「開業日」の欄には堂々と「2024年1月1日」と記入しました。これでご神徳にはあずかれるはずです。
寒い中、年明け早々に税務署の窓口へ行く気力もなかったので、家から一歩も出ずにすべてスマホで完結させました。
2. 開業届のオンライン提出に必要な4つのアイテム
ビタ一文お金を払わずに手続きするために用意したものは、以下の4点です。
- 1. freee開業(無料)
ブラウザ上で質問に答えるだけで、開業届と青色申告承認申請書をセットで作ってくれる神ツールです。 - 2. スマートフォン
マイナンバーカードのICチップを読み取れる機種。私は私用のiPhoneと仕事用のAndroid(モトローラ)を持っていますが、どちらでも問題ありませんでした。 - 3. マイナポータルアプリ & freee電子申告アプリ
スマホにあらかじめインストールしておきます。 - 4. マイナンバーカード(と2種類の暗証番号)
これが最大の鬼門になります。数字4桁の暗証番号だけでなく、英数字6〜16桁の「署名用用電子証明書」のパスワードが必要です。
※スマホがマイナンバーカードの読み取りに対応していない場合や、PCで作業を完結させたい場合は、外付けのICカードリーダーが必要になります。
3. freee開業からe-Tax送信までの手順と「つまずきポイント」
ステップ①:freee開業で書類作成(ここは本当に一瞬)
画面の案内に従って、屋号、事業内容、自宅住所などをポチポチと入力していきます。悩むとしたら「事務所の所在地を自宅にするか否か」くらいですが、私は自宅のある自治体で創業融資を受ける予定だったため、迷わず自宅住所にしました。ここは噂通り、5分で終了します。
ステップ②:【最大の関門】マイナポータル経由でe-Taxと連携する
ここからが本番です。
freeeで作成した書類は、ボタン一つで勝手に税務署に飛んでいくわけではありません。「freee電子申告アプリ」と「国のe-Taxシステム」を、マイナポータルを仲介して接続(連携)する作業が発生します。
ここで私が実際にハマった「3大つまずきトラップ」がこちらです。
- アプリを行ったり来たりする「無限ループ」
freeeの画面からマイナポータルアプリへ飛ばされ、カードを読み取って認証したと思ったら、またブラウザに戻され、再度アプリ起動を要求される……。「私は今、どこの誰の認証をしているんだ?」と脳内が混乱します。 - 電子申告アプリの「多重起動エラー」
早く終わらせたい焦りから、自分で電子申告アプリを手動で開いて待機していたら、「すでにアプリが起動しています」とエラーに。freeeのWeb画面上のボタンを押すと自動でアプリが立ち上がる仕様なので、手動で開いたアプリは一旦終了する必要がありました。 - カード読み取り位置のシビアさ
スマホの背面にカードをぴったり当てているのに認識しない。「えっ、壊れてる?」と焦りましたが、カードとiPhoneを重ねる位置をちょっとずらして数秒間ピタッと静止させたら無事に読み取りました。
初めてe-Taxを利用する人は、この連携のタイミングで「利用者識別番号(16桁のID)」が自動発行されます。今後の確定申告でも毎年使う超重要データなので、必ずスクリーンショットかメモで保存しましょう。
ステップ③:freee電子申告アプリで税務署へ送信
連携さえ繋がってしまえば、ここから先は勝利者インタビューも同然です。freeeの画面に戻り、送信ボタンを押せば、開業届と同時に「青色申告承認申請書(65万円控除の権利)」も一緒に税務署へ送信されます。

※ついでにインボイス登録も完了
私は免税事業者ではなく課税事業者としてインボイス登録する予定だったため、「freeeインボイス登録申請ナビ」を使って同じ流れで申請書を送信しました。二度手間になるのが嫌な方は、このタイミングでまとめて片付けるのがおすすめです。
4. 開業届提出後の注意点:ゴール後の「意外な無感動」
「完了おめでとう!」の連絡は一切来ない
民間サービスなら「登録が完了しました!」とファンファーレが鳴らんばかりのメールが届くところですが、役所は極めてドライです。不備がない限り、税務署から完了メールなどは一切届きません。
「え、本当に届いてるの? 放置されてない?」と不安になりますが、受領されたかどうかはe-Taxの「メッセージボックス」に届く『受信通知』で確認します
【超重要】「受信通知」のPDFは絶対にダウンロードしておくこと!
税務署の窓口で紙を出すと「収受日付印(ハンコ)」が押された控えがもらえますが、オンライン申請では紙の控えがありません。
その代わり、「送信した開業届の控えデータ」と、e-Taxのメッセージボックスにある「受信通知(受付日時や受付番号が書かれた画面)」をセットで印刷・PDF保存しておきます。
これは後々、「事業用の銀行口座開設」や「自治体・公庫の創業融資」を申し込む際に、『公的な開業証明書』として必ず提出を求められます。これを保存し忘れると後で激しく面倒なことになるので、申請直後に必ずダウンロードしてGoogleドライブ等に保管しておきましょう。
5. まとめ:事前の深呼吸さえあればオンライン申請は最強
マイナポータルとe-Taxの連携UI(操作性)には、お役所仕事特有の不親切さとややこしさが残っています。しかし、そこさえクリアしてしまえば、寒い中税務署に並ぶ必要もなく、完全無料で青色申告の権利まで手に入ります。
これから申請される方は、「途中で2回くらいアプリを行き来させられても怒らない」という広い心と、マイナンバーカードの暗証番号を手元に用意して挑んでみてください。
なお、今回はfreeeを使った体験談でしたが、マネーフォワードや弥生など、使い慣れた会計ソフトに合わせて申請アプリを選ぶのもおすすめです。
無事に開業届を提出できたら、次は「事業用口座の開設」と「創業支援の活用」へ進みましょう。私が実際に体験したリアルな顛末は、以下の記事で詳しく解説しています。


ではまた次回、お元気で。
特に何の感慨も無く、あっけなく個人事業主になりました。

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