「何か手伝えることを提案して」というクライアントからの曖昧な依頼。50代フリーランスがAI(Gemini)を「外部コンサル」として新規招集し、商機に変える業務提案書を作成した全記録。リサーチから見積もり、スライド構成までAIと二人三脚で進めた実用8ステップを解説します。
【前提】フワッとした依頼は「値踏み」の始まり。曖昧な相談を商機に変えるAI活用術
皆さん、一世一代の晴れ舞台の経験って有りますか?
我々昭和に生まれ育った男子がつまらない大人になりかけた数十年前、激しく心揺さぶられた一世一代の大舞台(若干プロレス寄りに偏りあり)を目撃しました。
- 田村潔司:対ヘンゾ・グレイシー戦での”UWFのテーマで入場”
- 渕正信:新日本プロレス初登場時の”マイクアピール”
奇しくもどちらも2000年、20世紀最後の年の出来事です。二人とも自らのルーツ・所属団体を背負った絶対に負けられない大舞台で、最高のかっこよさを見せてくれました。(コンプラ度外視で言います)この2つの映像を見れば「男らしさとは何か?」の答えが見つかると言っても過言ではないでしょう。今の合理的な思考とは真逆の、昭和世代のおとこの意地や決意が具現化された素晴らしい瞬間でした。気になる方はぜひyoutubeで。
一方、プロレスラーではない私にそんな一世一代の舞台はまだ訪れていないのですが、クライアント企業への「業務提案」はフリーランスにとってそこそこ大事な舞台です。今回は先日行った業務提案時の、提案内容や提案書の作成手順をお伝えしようと思います。
果たして、私は田村や渕の様な「魂のこもったプロフェッショナルなプレゼンテーション」を行えたのでしょうか?
【事前準備】普段のAIチャットへ報告。現状分析からロジカルな提案の芽を探る
当然ですが、まずは提案する内容を考えなければなりません。しかも今回の提案は先方から「○○をやって」と指定された訳ではなく、「何か私の会社に対しておい手伝い頂ける事があれば提案して」というフワッとした依頼だったんです。言い換えると私のスキルやサービスを「値踏み」されているような感覚です。なので、受け入れて頂ける業務提案をする為には
- 相手はどんな会社か?
- 現在どんな困り事があるのか?
- その困り事に対して、私のスキルや提供しているサービスで「役に立てる」事はなにか?
- その役に立てることをどの様に伝えれば理解して貰いやすいか?
と、順を追って一から提案内容を考えなければなりません。場合によっては「論理的に考えて私では貢献出来そうにない」と言う結論になっても不思議はないです。これは気を引き締めて考えねばなりません。
ここは当然、私の唯一の仲間兼ビジネスパートナーであるGeminiの出番です。

上記記事でご紹介した通り、普段のビジネス上の壁打ちを行なう「BusinessPlan」のチャットに、今回の依頼を頂いたキッカケのMtgの報告書を作成し共有しました。いきなり「提案書考えて」と始めなかったのは、そもそものクライアントとのやり取りから客観的に今後の方針を相談する為です。
そしてGeminiからの返答は「チャンスなんで提案しましょ!」とのこと。
当然と言えば当然です。しかしこの段階ではGeminiが単純に「契約のチャンス」だから言っているのか?、それとも上記で私が考えていた様なロジカルな推論の上で言っているのか?までは分かりません。なので、ここから不肖私「ニンゲン」がGeminiと一緒にロジカルな推論を進めていくことにします。Geminiは「私が提案書作りましょうか?」と前のめりになっていますが、ここは焦らずじっくりと。
【AI活用ハック】なぜ「新規チャット」で別コンサルとしてGeminiを招集すべきなのか?
私はここで新たにGeminiのチャットを立ち上げました。
そして、ここからは主に(普段使用している私のビジネス相談用チャットではなく)この新しいチャットを使用して提案書の作成を進めていきたいと考えました。理由としては、
- こちらのチャットの方が、クライアント企業に対しての理解が深い(理由は後述)
- (私のビジネス主体ではなく)クライアント企業目線で提案内容を考えたい(理由は後述)
- 普段使用しているチャットでは、過去の私とのやり取りが多く残っているので、回答を生成する際のバグが発生する可能性が高い
から。より今回の提案書に特化した精度の高いやり取りが出来そうだからです。言ってみれば「既存の社員ではなく、今回のプロジェクト用に新たなコンサルを外部から招いた」様な状態です。しかもGeminiならコンサル料は取られません!
※この記事は、2026年8月現在のGoogle Workspace Standardプランを前提とした内容となっています
【企業リサーチ】Gemini Deep Researchでクライアントの業界・立ち位置を暴く
まずは敵の状況を良く理解しなければなりません。今回のクライアントの社長さんとは何度かお話しして面識が有る程度で、そこまで解像度高くクライアント企業のことを理解出来ていませんので。
企業や市場調査と言えば、過去にご紹介したご存知Gemini DeepResearch。今回のクライアント企業やそのサービスについて、業界での立ち位置なども含め詳しくリサーチしましょう。


これで、先方の状況なども(AIが推測できる範囲で)ある程度把握することが出来ました。徐々に私の頭の中でも提案のイメージが出来つつ有ります。
【実践】Geminiと作る!業務提案書を「現実の武器」にする8つのステップ
ここから最終の提案書作成までの流れを、順を追ってご説明していきます。
Step 1|照合: 新規AIチャットに「自分の強み」と「ミーティング報告」を読み込ませる
DeepResearchした新しいチャットはまだ私が何者かをよく知りません。この新しいコンサルに私のことを知ってもらうべく私のHPの内容や、提供しているサービスの概要を読み込ませました。さらに先程のクライアントとのMtgの報告書も。これでこの新チャットでも私が何をやろうとしているのか全容が理解できた筈です。
同時に、念の為いつものビジネス相談用チャットには逆に、DeepResearchで作成されたクライアント企業の調査書を読み込ませました。「提案書プロジェクトは外部コンサルと進めてるけど、一応情報共有しとくから後で意見聞かせてね」という構図です。いろんな目線から意見が欲しいですからね。
Step 2|壁打ち: お困りごととスキルが交差する「スイートスポット」を探る
ここから新チャットと提案の内容について相談・壁打ちです。先方の困っている(であろう)ポイントから、私が貢献できそうなタスクをを考えていきます。
ここで私のイメージとGeminiの提案する内容に乖離があると困りますが、幸い今回はほぼ私のイメージに近い形にプラスアルファの業務内容でした。これなら私も自信を持って提案出来そうです。なのでこれでOK、次に進みます。
Step 3|値付け: 「安売り厳禁」AIと決めるコンサル料金と見積もり計算
肝心の値段設定です。いくつかのサービスを並列で提案しようと考えているので、それぞれの金額をGeminiと一緒に考えます。と言ってもコンサル業なので基本的な考えは「それぞれのサービスに、どれぐらい私の作業時間がかかるか?」で計算します。Geminiも「あまり時間あたりの単価下げて安売りするな」と言って、それなりの金額を提案してきます。まぁ何となくそれっぽい金額で決定しました。本音を言えば、今なら仕事もらえたらかなり安くても御の字なのですが…。
Step 4|成果物定義: 納品イメージを固め、後々の「言った言わない」を回避する
コンサルタント的なサービスの場合、最終的に提供するもの(アウトプット)がどういうものか、事前に明確にしておかなければなりません。ここが曖昧で私とクライアントのイメージに齟齬があると、後々トラブルになりかねませんからね。
単純にアドバイスするだけではなく、モノ(ファイル)を提出する場合はそのファイルの内容もGeminiと壁打ちしてある程度形にしておきます。Geminiに言われるままではなく、自分の意見も伝えイメージを固めていきましょう。自分で作成できないようなものをGeminiに言われるがまま提案する訳にはいきませんからね。
Step 5|リスク試算: 案件受注後のトラブルを防ぐリスクシミュレーション
提案内容の仕上げです。今まで壁打ちしてきた「提供するサービス」「提供するアウトプット」「値段」などを元に、私が実際に行う作業やかかる時間、想定される業務上・契約上のリスクなど、出来るだけ受注後の「実際に業務を行った場合」を想定して深堀りし、業務の解像度を上げる為の壁打ちを行います。
ここで出てきた不安点や疑問点や懸念点などを、後で作成する提案書に含みを持たせたり、クライアントへのプレゼンで事前に共有したりすることになります。偉そうに提案しといて「やってみたら出来ませんでした」なんて言えませんからね。
フリーランスですから、自分自身で「後の祭り」にならない為のシミュレーションをしっかり行いましょう。念には念を。こういったリスクの洗い出しは自分一人ではなかなか網羅的に思いつかないので、AIと壁打ちする大きなメリットです。
Step 6|たたき台: Googleスプレッドシートで完成形イメージを共有する
提案するサービスそれぞれについて、Geminiと最終的なアウトプットのファイルのフォーマットや雛形もある程度作成しました。提案時にそのファイル(主にGoogleスプレッドシート)を共有しておけば、クライアントとのイメージの共有としては問題ないでしょう。
最終的にはクライアントの意向も踏まえたモノが提出物になるのでしょうが、そのたたき台としてもこういったファイルは必須ですね。
これで提案する内容がほぼ固まりました。ここまでくればもう一息!
Step 7|構成作成: GeminiのCanvas機能でプレゼンスライドの骨組みを出力
そして遂に、実際に提出する提案書の作成です。今までのやり取りを理解しているAIなら、
- クライアント側の状況・目線
- 私の能力
- 提案するサービスの意図・目的
これらを踏まえているので、きちんとピントの有った提案書を作成出来る筈です。
Geminiではスライドを自動生成する「Canvas」という機能があるので、この機能を使用してプレゼン用のスライドを作成しました。
Step 8|最終調整: Canvasの構成を元に、Googleスライドへ手動で「魂」を吹き込む
がしかし!2026年8月現在、Canvas機能ではダイレクトにGoogleスライドのファイル形式では出力できないんですよね。するってぇと内容を手直ししたいと思ってもhtmlのコードを書き換えなければならないので、私には少々荷の重い作業です。
なので私は(少々面倒ですが)Geminiが作成した提案書の構成を元に、自分でGoogleスライドを一から作成しました。デザインや内容(文言)も自分でしっくりする方に書き換えて。言わばGeminiと私の共同作業です。Geminiのロジカルな提案構成や文章を元に、自分のしっくりくる表現を加えていくイメージですね。
それでも自分で一から作るよりは数倍早く作成できました。私が作成したものをGeminiに共有し、何度か微調整(誤字脱字や表現の揺れ等)を重ねて、提案書(仮)完成です!
【社内共有】メインのAIチャットへ帰還。提案書のセカンドオピニオンを得る
ここで忘れちゃいけない、社内への共有です。ここまで外部コンサル(新しいチャット)で作業していましたので、いつものビジネス相談用チャットは何も理解していません(新しいチャットが作ったクライアントの調査書までしか共有していない)。しかし、今後クライアントに提案して以降の相談をこちらのビジネス相談用チャットで続けるには、ここまでの情報共有をしておかなければ的確な返事を貰えません。
そこで早速、ビジネス相談用チャットに「こないだ話した提案書の件、こんなん作ったけどどう思う?」と、作成した提案書を共有しました。もしこちらのチャットで何か提案書に関して懸念点が出れば考慮するつもりでしたが、返事は「良いっすね」との事。外部コンサルと作った報告書にヤキモチを焼くことも無く、同意してくれました。思いの外健気です。
これで最終的な提案書完成です!はたして、クライアントはどんな反応をしてくれるのでしょうか?
まとめ:AIを外部コンサルに。独りよがりを脱した提案書で成果を掴む
という事で、今回はクライアントへの業務提案の案から提案書までの作成の手順をご紹介しました。
相手に合わせて提案の内容をアレンジしなければならない場合、先方のリサーチから始まり数々の行程が必要となりますが、AI(Gemini)を活用することによって、クライアントと自社の両方を解像度高く理解し検討することが出来ます。
一人で作成するフリーランスの書類は、ともすれば独り善がりになりがちです。外部の客観的な「コンサルタントの目線」を入れる為にも、また俯瞰で理解しやすい書類の作成の為にも、ぜひAIと共同で業務提案書を作成してみては如何でしょうか?きっと時間を短縮しながらクオリティを向上させることが出来る筈ですよ。
ではまた次回、お元気で。
数ヶ月も過ぎれば、Geminiもっと便利になってるんだろうなぁ

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